6日の日記を、7日の今日、書いております。
今日は稽古がお休みで、シニア劇団が3月最後の稽古となりました。
私は稽古後、確定申告を青木さんのヘルプによって無事準備し終え、その他気になっていた事務作業も少し進んで、晴れ晴れとした気持ちでおります。
また明日から、本番に向けてのラストスパートです。
さて、6日。オープニングとラストのダンスをどう扱うか、という話し合いから始まりました。
ダンス、ということを割と、生きる、という風にとらえてまして、それはもう、ものすごく、ありふれた捉え方ではあるのですが、この、双子が生きる、ということを、どういう風にダンスで表すか。それは、オープニングとラストで、どう違うのか。そこが話し合いの焦点です。
この「悪童日記」という小説は、オープニングとラストで、双子の心情がまるで違う。
そのことは、アクションに、文体に、直結しています。
それをダンスでどう表現するのか。
まさに、この作品の、心臓部分なのです。
そしてサファリ・Pという集団が、ダンスをどう捉えているか、ということにも繋がる気がしています。
どこかで使えたらいいなと思って作ってもらっていた振り付けが二人にあったので、それを組み入れることにして、次に移ります。
ジープのシーンです。
ここは、先日セリフを差し替えたばかりなので、もう一度セリフを入れた状態で精度を上げていきます。
母をやるこうちゃんのセリフを、どんどん、どんどん強いものにして行ってもらいます。
あんなに恋い焦がれていたはずの母の元に、もう戻りたくない双子と、夫以外の男性との間に子供を作っても、それでも息子たちを手放したくない母の攻防戦です。
もし赤子がいなかったら、双子はついて行ったのでしょうか。
そして、ジープのシーンから、「ドイツ人」という支配者を描くシーンに移行するそのつなぎを、作り直しました。小説には「こんな戦争、誰も望んでなかったよ」と酒場でおじさんがつぶやくシーンがあるのですが、まさに兵士たちは、本当は嫌だと言いながら、手を奪われ、足を奪われ、命を奪われていきます。
そういう幾多もの兵士の犠牲の上に、支配者は立っています。
とても力強い行進で始まるシーンとしていたのですが、
ジープのシーンが想像以上に力強いシーンとなったので、高杉氏の提案で、真逆の空気のシーンにしてみました。
それがまたとても面白いのです。
そこから、将校のマゾヒシズムのシーンを経て、双子が神を冒涜する、というシーンを作り直します。
私は、双子が、神に成り代わって所業を行う姿を、「いたずら」のイメージで考えていましたが、神をやる日置さんを「将校」と見立てたすぐ後なので、齟齬が生じるのではないか、と高杉さんに指摘を受けます。
これです。
私はわかってるんだけど、お客さんには伝わらないこと。
ここの差をはっきりさせる必要があります。
確かに、「将校が、リセットされて神になる」というよりは「将校の鞭打たれる姿が、そのうち神のようにも見えてきて」が正解です。
であれば、将校と心底愛し合っていたように見える双子は、日置さんを台座からいたずらに突き落とすべきではない。
でもこのシーンではどうしても、日置さんに台座から降りてもらわねばならない。
そこで、まずは双子が将校によって抱きしめられ、その後、双子が抱えて日置さんを下に降ろすことにはなりましたが、
ここはもう少し、考える必要があると感じました。
この一連の通しの後で、京都新聞の長谷川さんが、稽古場取材に来てくださいました。
少し取材をしていただいて、稽古をご覧いただきます。
作品の中で演劇とダンスはどういう住み分けがされているんですか、と聞かれますが、全く住み分けていないので、その様子をご覧いただきました。
その後、オープニングで、「双子は絶対に離れられないのだ」と説明するシーンに、他のシーンでボツになった父母のセリフを挿入する稽古です。動きとセリフがいきなり同時に進行することによって、セリフか動き、どちらかが止まってしまいます。そのため、繰り返しの稽古が必要になりました。でもこのセリフをここにいれることで、飛躍的にシーンが見やすくなりました。
最後は、「冬」のシーンを再度、練り直します。
先日の通しで、まったく形にならなかったシーンです。
あれやこれやとアイディアを出すのですが、なかなか良いアイディアが出てきません。
暫定で私のアイディアを採用しましたが、ここもやはり、もう少しアイディアが必要な気がしています。
その後、冬から続くユダヤ人のシーンのキャストの立ち位置を確認し直して、稽古を終えました。
毎日、必ず行き詰まるんですが、その行き詰まりで予想だにしなかった良いシーンが仕上がったり、とあるシーンがよくなると、前はよかったシーンもさらに精度を上げる必要が出てきたりして、作品自体が、全体的に、徐々に、徐々に、よくなっていくのがわかります。
まだまだできることはたくさんあります。
落ち着いて、一つずつ、潰していこうと思います。