じうちゃんが、なんだか言葉にならない言葉を話し始めました。
発語は3ヶ月ぐらいからあったのですが、ずっと「あ」とか「ぱ」とか単発のものばかりでした。それが、本人は喋ってるつもり、みたいな連続の言葉を、最近ついに口にするようになったのです。
そうすると、こちらは勝手に「今お父ちゃんって言った!」「今、痛い、って言った!」とどんどん勝手に深読みし始めます。おそらくこの深読みが、彼に声と意味の関係を知らせていくのでしょう。
「深読み」って大人になってもするものですが、そう思うと奥深い行為ですね。
さて、今日は、すでに作っていたおばあちゃん家のシーンの細部を詰める稽古をしました。
悪童日記に出てくるおばあちゃんちのイメージ、今でも日本の山奥に現存するのを私は知っています。
山奥では、動物のような生き様のご老人を時折見かけます。私が和知でおうちを借りていた時も、隣に住んでいた(隣と言っても結構離れています)一人暮らしの85歳のはっちゃんち、自然の一部のようでした。
そもそもはっちゃん自身が両足と大地が繋がっているようなイメージの方でした。急に空を見上げて「雨や」と言った瞬間雷がなって土砂降りになったり、私の残された片方の靴を見て「山の子や」とつぶやいたり、
山の中を歩いて「これは食べれる、これはあかん」と説明してくれたり、山の中に生えている木を切って、杖にしたりします。その木は、生えたては食べることもできます(名前を失念!)
悪童日記のおばあちゃんを見ていると、朝早くから畑を耕し、日が暮れても家の中でひたすら働いていたはっちゃんを、思い出します。はっちゃんは、おばあちゃんと違ってとてもとても優しい人だったのですが。
その後、兎っ子と女中のシーンから、厳しい冬がやってきて双子が凍えているというシーンまでを作りました。
*この写真は、兎っ子と女中のシーンではありません。念のため。
兎っ子と女中は悪童日記に登場する女性人物なのですが、私はこの二つのキャラクターを、オセロの白と黒みたいに、表裏一体の存在と捉えています。「女性」でくくるのは少し乱暴かなと思いながらも、
同じように男を求めている姿、
が重なります。
外見、言葉遣いが真逆なのですが、言っていることはほとんど同じなのです。
表裏一体ということで、同じ演者に担ってもらいます。
果たしてこの作戦は、どう出るでしょうか。