悪童日記1月8日

じうちゃんが、今日、とうとう、前に進みました・・・・・
ずっと、3ヶ月ぐらい、寝返りは出来るのですがズリバイができない状態でした。
進もうとすると後ろに下がる。
あるいはぐるぐる回る。
それを繰り返してました。

ここ数日は、じうちゃんもじれったくなってきたのか、寝返りがえりしたり、寝返りをしにくい方で寝返ってみたり、色々新しい動きを見せていました。が、なかなか前へは進めませんでした。

そして今日、ついに稽古場で、二歩、前に進んだのですっっっっ!!

本人は、自分が進んだことに、あまり気がついていませんでしたが、
私は嬉しくて嬉しくて、稽古用動画を撮っていたのに、そっちに気を取られて稽古から目をそらしてしまいました。
どうだ、最低な演出家だろう。

さて今日は、双子にとっての二人の女性を表現するシーンを作ってみました。

この女性は、一人は兎っ子と呼ばれる隣人の娘で、うさぎ唇に薮睨みの目、できもの、目ヤニがいっぱいの不潔な少女です。

もう一人は女中で、金髪の踊るヒップを持つ、ストッキングの伝線した女性。

二人を表現する単語を発しながら、歩いてもらいます。
舞台上にはスリッパが一組。
それを手に持つと、持った二人は町のいじめっ子になり、残った一人は兎っ子に。
それを履くと、はいた二人は双子になり、残った一人は女中になります。

スリッパを所有できる時間は1分。
それが過ぎたらリセットされますが、

はいているスリッパを奪ったりして、立場を変えることも可能です。
また、言葉を奪って立場を変えることもできます。

言葉を奪うというのは・・兎っ子と女中はビジュアル的に真逆の女性であるにもかかわらず、小説上、その二人を表現する色彩が同じなのです。二人とも、赤い部分と、黒い部分と、黄色い部分を持っています(黒い髪、とか、黒い歯、とか)

それなので、誰かが女中を表現するために「黒い髪」と言おうとして、「黒い」、と発した時に、誰かが「歯」と言ってしまうことで、それが兎っ子になる、ということが起きます。

そうやって、ゲーム的に3人の関係を変化させていきながら、この二人と双子やこの町のことがどこまで表現できるか探っていきました。やっていくと、いろいろな発見があって、とても面白かったです。

最終的に双子は、いじめられる兎っ子を助け、優しくしてくれた女中を殺そうとします。

私たちの中に潜む差別心や、この二人の女性の表裏一体な存在について考えを巡らす良い時間となりました。

後半は、「脱走兵」のシーンを実際に小説の中のセリフを使って再現してみることにしました。
実は、ただ再現するのではなく、身体の発するメタメッセージ、セリフを喋る時の違和感、などについてじっくり目をこらすことを目的とした作業となりました。

私たちはストーリーを伝えたいわけではないのです。
人と人の間にあるものをどうやって届けるか。
そもそも、その人と人の間には、いったい何が起きるのか。この悪童日記を演る事によって。
というのが課題です。

もう少し、風呂敷を広げる作業が続きます。