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【高杉征司 脚本・演出情報】高槻シニア劇団WakuWaku「一号棟一階南角にその保健室はある」

 三年間の継続事業として始まった高槻シニア劇団WakuWakuが節目の三年目を終えようとしている。その一旦の集大成として「一号棟一階南角にその保健室はある」という作品を上演します。

 一年目は、俳優が舞台上に生きている実感だけを求めて「そっとふれてみる」という作品を創作しました。ドラマはほとんど書かず、とはいえお客さんが退屈しない程度には物語を織り込んで、日常のありふれた場面を切り取ったような作品でした。

 二年目は、先日劇団紙ひこうきで再演した「遠くに街がみえる」を上演。変わりゆく街並み、移ろう風景を当てどころに、人間の老いについて考えた作品です。一年目よりもドラマの要素をグッと増して、俳優さんにとってもやりがいのある作品だったと思います。

 そして三年目の今回は、一幕劇に挑戦します。場所は、とある公立中学校の保健室。場面転換はなく、舞台上を流れる時間は全編を通して客席に流れる時間と一致することになります。時間も場所も飛んでいくダイナミズムが舞台の醍醐味だとしたら、時間も場所も飛ばない生っぽさもまた舞台の醍醐味に違いないのです。俳優さんもやりがいがあるのでは、と思います。じっくりと「そこにいる」ことに集中する。変化もリアルタイムで、そこで起こったことに反応し、変化する。舞台上で。70分。「やりやすい」はずなんだけど「どうにも難しい」この試み。三年目ですからね、挑戦しなければ!

 内容はというと、放課後の保健室に先生が集まって、生徒の悪口を言っている、ということなんだけれども、それはそんなに陰湿なものではなく、それが人間だ、というべきものです。文化祭での教師の演し物について話し合う中で、見え隠れするそれぞれの思惑、劇中劇、揺らぐ「存在」。
 「存在」とは? という哲学的な問いに私ごときが解を見いだせるわけもなく、しかし思考を停止したり放棄したりする気にもなれず、悶々とした日々を過ごしています。この肉の塊こそが「私の存在」であるのか、それとも肉体は視覚的なものに過ぎず「本当の」私という存在は肉から溢れ出し、中空を漂っているのか・・・ここに来て新たな問題が・・・「本当の」って何だよ!? そんな、プラトンの言う「イデア」のようなものは果たして存在するのだろうか・・・
 話を手触りのあるところに戻しましょう。俳優に限らず、人はみな演じていると考えられています。言葉遣いや声のトーンは職業や立場によって変わりますし、他者との関係性の中でも変化します。しかし、我々は一般的に「演じている」という自覚はありません。例えば芥川賞作家の平野啓一郎氏は「分人(ぶんじん)」という造語で、そんな「私」というものを体系化しました。関係性や環境に応じて様々な顔を見せるのが人間であり、その一つ一つが分人であり、その総体が「私」なのだ、と。その内の一つが「本当の私」なのではなく、全て「本当の私」であり、その総体が「私」なのだ、と。

 「私」が何なのか、私には見当もつきません。この肉体のことなのか、そこに宿った魂のことなのか。プラトンのいう「イデア」のような真実在があるのか定かではありませんが、分からない以上、ここに実在する「私」を受け入れて、生きていこうと思うのです。
 皆さんのご来場をお待ちしています!

高槻 de 演劇 秋のプログラム2018
高槻シニア劇団WakuWaku第3回公演
「一号棟一階南角にその保健室はある」

脚本・演出:高杉征司

先生は今日も忙しい。

ある公立中学校の保健室。
文化祭の演し物の準備をすべく先生たちが集まって・・・来ない。
そう、先生は忙しいのだ。

「これこそが理想の授業」「なんの、生徒との距離が近すぎてよ」「そもそも『山田』ってほんとにいるんですか?」「財布がない、財布がない」
そう、先生だって色々なのだ。

教師ってなんだ、生徒ってなんだ、教育ってなんだ、そもそも私は誰なんだ。答えなんてないけれど、それでも先生は前を向く。今日もいつも通りの日常。
人知れず彼らを見つめる「二つの目」があることを除けば。

【日程】
2018年10月27日(土) 11:00 / 15:30
      28日(日) 13:00 ※開場は開演の30分前

【会場】
高槻現代劇場 305号室
〒569-0077 大阪府高槻市野見町2-33

【チケット】
一般:1,500円 高槻文化友の会:1,000円
50才以上/25才以下:1,000円

【チケット販売】
高槻現代劇場 072-671-9999(10:00〜17:00)
webでお申し込みの方はこちら

主催:公益財団法人高槻市文化振興事業団
企画協力:特定非営利活動法人劇研

【高杉征司 脚本・演出情報】劇団紙ひこうき「遠くに街がみえる」

 私が脚本を書いて、演出した「遠くに街がみえる」を高槻シニア劇団WakuWakuで上演したのが2017年11月なので、あれからもう1年経ったことになる。終演後、ほどなくして「この作品を上演したい」とオファーを頂いて、演出もすることになった。オファーは「劇団紙ひこうき」からで、この公演が旗揚げとなる。

 元々この台本は、二年半前に岡山でのクリエイションのために書き下ろしたものだ。小学生・中学生約20名が対象のワークショップ公演で、思春期を迎える彼らの「実感」を掬い上げようとしたものだった。翌年、それを「シニア世代」で再演したのにはワケがあって、そこにもシニア世代の「実感」が影響している。
 シニア劇団WakuWakuの新年会で、一人の団員が某公共放送のドキュメンタリーの話をしてくれた。ある人気バンドの曲を、そのバンドの生演奏に若者たちが合唱で参加して一緒に演る、というものだった。「あの若い時のエネルギーはどこへいったんだろう・・・」とても実感のこもった言葉だった。当然、数十年の時を経て、失ったもの・手に入れたもの・形を変えたものがあるのだけど、それが何なのかを作品を通して検証してみたくなった。演じる人・観てる人が、自分の過去に想いを馳せ、今を実感し、未来を想像する時間を創出すること。そんな目論見を持って大幅に台本を書き直した。還暦同窓会で、学生時代を過ごした寮を訪れた「シニア」。そこで一夜を過ごす中で、蓋をしていた感情が蘇ってくる。そんなお話。

 そして今回、若者とシニアの混成チームで挑むことになった。昨年の上演後、実際に若者を入れてやってみたいな、と思ったところへ「再演依頼」がきたものだから、思い切って打診してみた。結果的に「やって良かった」と思っている。
 十代はやはり身体が動く。そして変化を受け入れやすい。シニアは滲み出るものが分厚い。そしてコミュニケーション能力が高い。そんな当たり前のことを改めて実感する。そしてそんな異なる世代が「高校生」として舞台上で交流する。違和感があってみたり、次第にそれもなくなってみたり、むしろしっくりきてみたり・・・観た人が何を感じてくれるのか? 今から楽しみだ。

 随分前に完売してしまったので、増席しました。ご来場をお待ちしております!

高杉征司

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劇団紙ひこうき第1回公演
「遠くに街がみえる」

脚本・演出:高杉征司(サファリ・P)

あの頃、みたかった景色
今、みている景色
これから、みるであろう景色

還暦同窓会で思い出の学生寮に集まった四人。一夜を明かすうち、蓋をしていた感情が少しずつ蘇る。
若さゆえの過ち、若さゆえのエネルギー。「我々は何を失い、何を手に入れたのか?」
18歳の当時と60歳の今が交錯する青春群像劇。

【日時】
2018年10月13日(土) 17:00
       14日(日) 11:00 / 15:00

【会場】
人間座スタジオ(京都市左京区下鴨高木町11)

【料金】
一般 1,500円
60歳以上/学生 1,000円
親子割引⭐︎ペアで 2,000円

【チケット取り扱い】
電話:050-7115-8487
メール:kamikamikamihikouki@gmail.com
Twitterアカウント:@kamihikouki2018

八尾プリズムホール主催「つくってみようよ!おしばい」2018にて山口茜が脚本、高杉征司が演出を担当

本気の自分を出しきろう!これは真剣勝負のエンゲキ講座だ!

オリジナル台本で音響も照明も入ったお芝居をつくります。 セリフを覚えて、動きをつくって
どんどん出来上がっていく本気の演劇づくりは、 楽しさ満点!

「君と奏でる物語」
脚本:山口茜 演出:高杉征司 演出助手:阪本麻紀

■日程(全10回)
7/24(火)13:00~16:00
8/ 3(金)13:00~16:00
7(火)10:00~16:00
10(金)13:00~16:00
17(金)13:00~15:00
18(土)13:00~15:00
21(火)10:00~16:00
24(金)13:00~16:00
25(土)10:00~16:00
26(日) 9:00~17:30 ※発表公演 全日程参加できる方を優先して抽選します!

■対象
小学5年生~高校生

■定員
①俳優コース     15名程度
②舞台スタッフコース 数名
※どちらも申込み多数の場合抽選となります

■場所
5F レセプションホール 他

■申込受付期間
~7/16(月・祝)まで

■申込方法
(1)来館・FAX(072-924-5010)→応募用紙は下の申込書をダウンロードしてください
つくってみようよ!おしばい平成30年プリズムホール夏休みのイベント 申込書 (PDF)

(2)メールフォーム→こちらから
①お名前・性別 ②学校名・学年 ③電話番号 ④住所 ⑤メール

その他、下記の点を明記してください。
◆「俳優」か「舞台スタッフ」の希望(メールフォームはいずれか選択して)
◆応募動機(メールフォームはその他欄に)
◆参加できない日程(メールフォームはその他欄に)

■お問い合わせ
プリズムホール(八尾市文化会館)チケットカウンター 〒581-0803 大阪府八尾市光町2-40
TEL:072-924-9999 FAX:072-924-5010 メール:infokikaku@prismhall.jp
9001900 月曜休館・祝祭日の場合翌日)

詳しくはこちら

カンパニーデラシネラ「椿姫」「分身」

ずいぶん暖かくなってまいりましたね。明日からカンパニーデラシネラ「椿姫」「分身」が世田谷パブリックシアターにて開幕です!私は微力ながら、テキストを担当させていただいております。いつもながら、デラシネラの世界観はオリジナリティに溢れていて、かつ、どんなお客様にも届く力があります。

 

皆様是非、劇場に足をお運びくださいませ。

詳しくはこちらから!

 

カンパニーデラシネラ「椿姫」「分身」

ただいま、デラシネラ「椿姫」「分身」のお稽古が、進行中とのこと。

山口も「分身」のテキストについて小野寺さんと打ち合わせをさせていただいております。再演ということですでにテキストはあるのですが、もう一度捉えなおしてみる、ということで、改めて小説「二重人格」(あるいは「分身」)を読み直しまして、もうびっくり。

ドストエフスキー面白い!

そして何より、文字を読んで頭に浮かぶ情景が、デラシネラそのものなのが驚きです。

カンパニーデラシネラの作品には、2012年から6年にわたり、何度もなんども、関わらせていただいてまいりました。自分が関わっているものも関わらないものも合わせると、何本拝見したかわかりません。

真似したくてもできないデラシネラの世界は、なんとドストエフスキーの小説の中にありました。初演の時はそこまでこういうふうに感じなかったのが不思議なぐらい、私の中では似ているのでした。

ドストエフスキーといえば、私の好きな小説家はだいたい好きな小説家にあげます。何かがどこかで繋がっているんだなあと思います。

皆様ぜひ、デラシネラのドストエフスキーをご覧にいらしてくださいませ!3月、世田谷パブリックシアターにて。同時に上演されます「椿姫」もテキストを担当させていただいております!

詳しい情報はこちらから

恍惚一座@京都劇場

昨日、無事高槻シニア劇団恍惚一座「オーロラ・ジェンカ」@京都劇場が終了しました。
私は当初、産休ということで、6月以降の稽古及び仕込み本番をお休みするつもりでおりましたが、

思った以上にうまれてこず、
しんどいしんどい言いながら目立ったトラブルもなく、元気でしたので、朝から京都劇場に顔を出してまいりました。

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演出席を準備していただいて、

1時間半で場当たり&通し&ゲネを全部やるという、なかなか過酷なノリ打ちでしたが、なんとかその後の本番も大きなミスなく終了しました。

お客様の手拍子で幕が下りていく時も感動したし、終わった後の笑顔の役者陣を見て、あーーやっぱり参加させていただいてよかった!!!!と思いました。メンバーの皆様、劇研の皆様、改めて、本当にありがとうございました。そして、大変お忙しいところ、台本を提供してくださった伊地知さんにも感謝です。

ただ、恍惚一座の私らは一つだけの作品ですが、ついてくれていたスタッフ陣は、京都のシニア劇団、星組との2作品連続だったので、大変だったみたいです。ご飯を食べる暇など1ミリもなかったと申しておりました。とはいえ、いつも私がお世話になっている最強メンバーが主だったので、こちらは安心感がすごかった。子守に来てくださったミンスさん、松本家含め、本当に、お世話になりました。

全国の大劇場を様々な理由でちょくちょく使ったことがあるのですが、京都劇場はなんかやっぱり一番嬉しかったな。地元というのもあるし、多分、こんなに大好きなメンバーに舞台に立ってもらったことが、嬉しかったんだと思います。お客様もたくさんいらっしゃったし。

うちのお子様は、
ここ半年、毎週稽古場で聴き続けた1時間のオーロラ・ジェンカのセリフや音響に、いつも通り反応しまくってました。一緒に本番に居合わせることができて、嬉しかったねえ。

さて、久しぶりにフル稼働の1日で、だいぶお産が近づいてきた気がします。動くと、下がるんですね。
生まれた後はどうなるかなあ。
そわそわしながら、苦手な「のんびり過ごす」にチャレンジしてみます。

林英世ひとり語り終わりました!

林英世ひとり語り「宮本輝と林英世と山口茜と」無事終演いたしました!

けっこう最初の方で、これは参加させてもらえて良かった!と直感しましたが、終わりまで本当に素敵なカンパニーで最高でした。なんせ飲めないので、お酒の場がそんなに好きではないのですが、

昨日新世界のもつ鍋屋で、英世さんと笠原さんと、音響の近松君と照明のこのみちゃんが幸せそうにがぶがぶがぶがぶお酒を飲んでいるのをみて、すごく幸せな気持ちでいさせてもらえたのがその証拠です。

私にとって(非常に一方的ですが)心の師匠といっても差し支えない小野寺修二氏が、よく「しっかりと目を凝らす」という事を呟いてらっしゃるのですが、今回はそれを試す事ができる現場でした。何か自分らしさみたいなものを敢えてつける必要などどこにもなくて、ただ、目を凝らしていれば、俳優や脚本の世界から何かが見えて来るのです。それをただそっと取り出せば良いという事なんだなあと今回は改めてそう思いました。

いかんせん、英世さんが非常に力のある俳優さんで、宮本輝さんも売れ売れ売れっ子の作家さんな訳ですから、既に何かを持ってらっしゃらない訳がないんですよね。私に課せられた事は、ただ信頼して待つ、って事なんやなあと毎回の稽古で思ってました。

照明のよっしーもこのみちゃんも、音響の近松君も、センスのある方々で、私ののんびりとした言葉足らずのお願いを、しっかり汲み取ってくださいました。

笠原さんには何から何まで癒して頂いて、
もちろん、宣伝から受付まで制作さんとして隅々まで動いて頂き、
演出に専念させてもらいました。

幸せな現場は終わるのが早い!
今日からホーム、サファリに戻ります!
サファリでも、これまでトリコで一人でしていた事を、メンバーの皆様が手分けしてやってくださるのでとても助かっています。反面、創作面では新しい境地を目指しているので、中々に、大変です。大変です。大変です!

でも、確かに多くの信頼できる方々に、これからの活動を見守って頂いている事が分かるので、おだやかに頑張れそうです。ひとっとびさえしようとしなければ、なんとかなるはずやと信じて頑張りますー!

あー武者震いがおさまらん!

「他人(初期化する場合)」

京大の学生劇団、ケッペキの「他人(初期化する場合)」を観に行って来た。

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パンフが眼鏡ケースになってて感動(なんでかは、戯曲読まないと分からないんだけど、読んでも分からないかも)。

上演が始まった瞬間、自分の自意識の塊のセリフに体温が急上昇して汗がダラダラ出て来た。
若書きってこういう事かと思った。

だけど時間がすすむに連れて、一生懸命このぐっちゃぐちゃの戯曲に向き合ってくれた演出と俳優とスタッフの皆さんを思って感動した。ていうか、上演してくれるだけでも嬉しいのに、子供でもおかしくないほどの若い人たちが、(きっと)若さと時間と人を使ってけっこうな小道具や美術や衣装を作ってくれてて、そのせいか私が演出したよりだいぶ分かりやすくなってて、それってほんとに、私にとっては奇跡だった。

上演した当時、お客さんは????だったし、
人気も全然なかったしね。
戯曲賞取った時にとある演劇関係者の人にびっくりした顔で「京都のどこで演劇したはるんですか」と聞いてこられたぐらい話題にならなかったし。

それが2015年の時点で若者である彼らに目にとめてもらって、上演してもらった事が、嬉しい。

それにしても、あのときの私にとっては、これが至上命題だったんよな、と思い出した。あのときほんとに、私の脳みそはあの戯曲ぐらい大混乱やったんや。

傷つけるという方法でしか人を愛せないという事、
傷つけられないと愛されている事を実感できない事。

私の帰る所はここじゃないという気持ちとか、
誰かの肌のぬくもりばかり追い求めていた事とか。

恥ずかしいが。

それを「間違い」とか「病気」とか「犯罪」とかカテゴライズする前に、
私は戯曲にしたかったんやな。

10年ぶりぐらいに自分の戯曲に立ち返る事ができたのもありがたく、良い機会だった。

で、若い頃から今に至るまで、私のテーマが一貫している事も発見した。

次に進む為の良いカンフル剤になりました。
本当にありがとう。

超個人的には、桃レンジャーの人形やってた子の右手がツボでした。面白くて過呼吸になるかと思った。

帰りに、「他人〜」の初演も再演も出てくれてた岩田由紀ちゃんの娘ちゃんに会いに行く。由紀ちゃんも一緒に観てたんやけど、私らのときより分かりやすかったなあ、と笑顔でした。

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可愛かったー。おおきなってた。子供ってあっという間やなほんまに。
わたしは、台本を、書くぞ。