散漫とダンス初稿

私には集中力がありません。台本を書いている時も、いろんなことをします。いろんなことを考えます。行ったり来たりしながら、少しずつ、少しずつ、文字を増やしたり削ったりしています。

若い頃は、何かを突き詰めて、我を忘れて集中することができないことをずっと悩んでいました。それができる人に憧れ、ずっとそうなりたいと思ってきました。

集中するために、早起きしたり、夜中まで起きてみたり、ヨガをしたり走ってみたり筋トレしたりストレッチしたり、ツボを押してから白湯を飲んだり一人でパスタを湯がいて村上春樹になりきったりしていました。ビタミン類の摂取も、玄米菜食にも断食にもチャレンジしました。痩せたいのと集中したいのを混同しまくりながら頑張ってました。

でも本当に、全然効果なし、でした。というよりむしろ「悪化」していました。というのは「環境が整っていないから」という理由で作業に入らない私がいたからです。そんな私をいつも「集中するためでありますので」と、私の中の小さな執事がたしなめてくれていましたが、台本が書けていないという事実を目の前にするといつもコソコソどこかに隠れて行くのもその執事でした(この話は今作りました)。

でも、最近、1歳児を育てながら「私の家族」を書くことになって、色々諦めがつくようになりました。なぜなら1日の大半を、息子との時間に費やすからです。1歳児という大自然はすごいです。絶対にパソコンなんか開けません。さらに彼が寝てからの時間も、最近使えなくなってきました。うちの息子は、私が隣に寝ていないと30分おきぐらいに泣くのです。寝ているのにいないことに気がつくんです!大自然ってすごいわね!

というわけで現在は、日中の、保育所が空いているありがた〜いお時間の間に、私は集中できないまま台本を開き、いろんなことを同時に行いながら、少しずつ、少しずつ、エンジンをふかしていきます。エンジンがかかりまへんなーと言いながら、それでも台本を開いて、そのことを考え始めるしかないというわけです。

皮肉なことに、いつもだいたい次の予定の30分前にエンジンがかかります。そうなってからでは時すでに遅しなのですが、未練がましくパソコンにへばりつき、息子の夕食の準備が遅れたりしています。厄介な母親です。

でも、私は24時間あってもせいぜい四百字しか書けません、と割り切ると色々わかることが出てきます。2ヶ月半ぐらいあれば3万字書けるな、とか。普通の掛け算ですが。

とはいえ17時になったら保育園にお迎えに行く、というミッションが週6回必ずあるために、最近逆にエンジンがかかりやすくなったかもしれません。時間は無限にないのだ、という事実に気がつくことが、私にとって特効薬だったのかもしれません。

憧れの集中さんとは結ばれませんでしたが、私のことが大好きな散漫さんと、今はすごく素敵な毎日を送っております。散漫最高!「散漫とダンス」っていう本書こう、いつか!