さて、通し後の稽古。山口から、違う時間にいる人が同時に同じ場所に存在するという処理をしたいという提案をします。
以前、高杉氏が熱く語っていた「科学的にはタイムトリップやテレポーテーションが可能である」という話。これを私が思い出し、今、テネシーが生きている時間と、軍の調査官がこの場所を見に来た時間の間には40年の差があることにしてはどうか。つまり最初から最後まで、高杉さんとえみちゃんは出会っていないことにしてはどうか。
どうしてもテネシーの「感情」や「エゴ」にフォーカスしてしまいがちなこの作業。そういうものから離れて、もう少し普遍的なところで見れないか、と思ったのです。
この提案が、意外と行けるかもということで、どう成立するか、組み合わせを考えたり立ったりしてみました。
高杉さんとまっちゃんが恋人、同時代、えみちゃんが不動産の調査官、別時代
えみちゃんとまっちゃんが恋人、同時代、高杉さんがテネシーとしてひとりきり、別時代
しかし元々別の物語を紡いだテキストをもとにする以上、どうしても筋を通すことはできません。思いつきは良いものの、演者に落とすとかなり難しい作業であることもわかりました。
科学的な根拠からくる処理をしようとしても、筋を通し切ることができない以上、どこかで演劇的な力を借りるしかないのではないか、と高杉氏。
面白く難しい稽古です。