財産没収稽古2017.06.24

今日は、残りの2ページ(前回までは全7ページと書いていたのだが、やっていくうちにト書きが増え、8ページになりました)のセリフの割り振りを、暫定で決めるところから。初演でもそうだったが、ラスト周辺はだまし絵的にずらしたりせずともそのまま使えるセリフが多いので、サクサクっとセリフを割り振ることができる。これは再演の強みだと思った。

初演の後半の動画を見る。意外と動いていないことがわかる。つまりセリフを発しているだけのイメージ。もうすこし動きを入れていたと思っていたのだが、記憶違い。

それから実際に何度か、決めたセリフの割り振りでとおしてみる。ダンスをどう作るか、という話を恵美ちゃん発でしてくれる。やりたくないダンス、やりたいダンス。私が安易に「アメリカンなダンスを」というたばかりに、恵美ちゃんは言いにくそうに「こういうのは・・・したくないんです・・・」とブギウギダンスのようなものを真似してくれる。

確かにそれは違う。確かに違うのに、確かにそういうの思い浮かべてた(稽古場では言わなかったが)。

恵美ちゃんは、一つの一連の動きを作り、それを大きくしたり小さくしたりしながら随所で使ってはどうかと提案してくれる。

それで私からも、今舞台上で演者がやっている動きの「動詞」をピックアップしてみて、その動きをつなぎ合わせることで振り付けを作ってみてはどうかと提案した。

そこで高杉さんが、ダンスの話をしているのに、全然別のことを考えていた、と告白して、オープニングについての提案をしてくれた。

今、オープニングは初演と同じく、追いかけてきた恋人に気がついたテネシーが、自分で部屋の電気をつける、ということにしているのだが、それを、恋人につけてもらってはどうか、ということ。

私は、初演の時から、ここでテネシーが電気をつけることにずっと違和感を持っていた。暗いところで作業をしていた人が、他者がやってきたから電気をつけるって、そんな気遣い、するだろうか?創作に夢中になっているのに、いや、それより酔っ払っているのに!通常なら恋人が電気をつけて、テネシーの酔いを醒ますぐらいがいいはずなんだ。そう思ってた。

でも思っていたのに、言わなかったし、解決しようと思ってこなかった。だって、そのままでもなんとなくうまくいってたから。それに気がつく。演出として杜撰。

恋人が電気を付けることにすると、テネシーは転がっているトルソーの方に、恋人を避けて偶然近づくことができる。「この素敵な人形」というセリフ(初演では恵美ちゃんが言ってた)を、これまではまっちゃんが言ってた。でも、恋人が言うセリフとしてはずっと違和感があったので、とりあえず暫定かな、と保留にしていたのだ。それが、高杉さん、つまりテネシーのセリフになる。

そう、まさに、このセリフは、テネシーのセリフなのだ。

そうすると、その後に挿入するダンスについても、まっちゃんがなぜかトルソーと踊る、というようなことをしなくて良くなる。

このオープニングの改善案には、興奮した。興奮したと同時になぜこれを初演で私が思いつかなかったのか、と残念に思ったが(だってずっと違和感感じてたのに)、それもこれも、あらゆる様々な因果関係で偶然今、高杉さんの脳がピピっときたわけで、2年前の、2015年6月の稽古では、誰も、思いつく余地がなかったのだ。

ということにして、落ち込みもそこそこに、次へ。

恋人とテネシーが、「青い鳥」というカフェの裏のゴミ箱の近くで出会った、というイメージを、私たちは初演から共有している。そこで二人はなんとなく惹かれあい、恋人同士になった。それをどこかでやりたい、と高杉さんは切望しており、逆にこのイメージを提案した私には、どこにそんな隙があるのか、さっぱりイメージできなかった。

でもここで、そのシーンができそうということに、前回の稽古でなった。酔っ払いが三人で喋っているような、セリフの割り振り。今日はさらにそのセリフの割り振りを更新して、作ってみる。必要最小限の美術でやるので、ゴミ箱感、というのは出にくいのであるが、それでも、なんとなくわかるような感じに出来上がった。

稽古の最後に通しをしたかったので、その前にもう一度、ラストを通してみる。やってみたら、テネシーが、最後に、恋人に自分を襲わせる隙を作っているように見えて、これまた興奮(演出的に)。でも恋人はもう、去ってしまう。これって、まさに、テネシー・ウィリアムズ。というわけで、よりそういう風に見えるように、動きを微調整。

それから、先ほどの高杉氏のオープニング提案を実際にやってみて、通しをした。

ランタイムは35分だった。ダンスや間を作っていけば、予定通り40分程度になりそうだ。

通しが終わって最後の1時間、振り返る。5ページが丸ごと、「よく分からない」こと。
7ページで急にダンスをしだす意味、とか、

恵美ちゃんにどうやってローズ的要素を入れるか(ローズはテネシーの姉。恵美ちゃんは今、あくまでアルヴァ、という、主役のウィリーの姉でしかないのだが、できればローズ的な要素も入れたい)

恵美ちゃんはあくまで高杉さんの妄想上の人物であること。恋人とは違うということをお客さんに伝えたい、ということ。

など、諸々問題を共有して、6月の稽古を終了した。