悪童日記3月5日

山口、40歳になりました。
10年前のこの日は、若手演出家コンクールの最終審査のために滞在していた東京から京都へ帰るバスの中で迎え、フィンランドへの留学が決まった日でもありました。

2017年の誕生日は、稽古をしていました。10年前と比べると、ずいぶん中身が詰まってきた感じがします。

さて今日は、台本をまた全体的に新しくしてきたので、変更の箇所を頭からさらっていきました。

そして「避難所」としていたシーンを「母との別れ」のシーンに差し替える作業に入ります。小説では、防空壕に入りたがらない双子が描かれています。みんなが助かるために作った場所のことを、双子は「初めて怖いと思った」というのです。とても双子の性質を表しているし、防空壕も平台で作れたので、ずっとそれできましたが、

その平台を、ジープに見立てた瞬間、もうそこは、敗戦でドイツ兵と逃げようとしている母のシーンにしか見えなくなってしまいました。

ジープの中から母は、早く来なさい!と叫びます。
あなたたちを愛しているから、置いていけない、と。

実際に書いてきたセリフの分量ではこのシーン、埋まらなかったので、改めて尺を伸ばすことに。
私がそれをパソコンで打ち直している間、キャストは、ラストの父の国境越えのシーンのセリフを割り振り、読みます。そして昨日ひかれたリノリウムの上で、平台を動かすことになったのですが・・・

滑ると思ったリノリウムが平台を「止めます」。

こういうことが小屋入り前にわかってよかった、と言いつつ、私は母との別れのシーンのテキストだけ打って、中抜け。
キャストと下野くんは、リノリウムが平台に引っかからないように、敷き直しをしてくれました。

私が戻ってからは、ラストシーンの動き、セリフの確認と、ジープのシーンを仕上げまして、
衣装の詩恵ちゃんが来てくれていたので2回目の通しをしました。

ランタイムは当初予定していた1時間ぴったり。
しかし新たに改善したいシーンが次々と現れます。

みんな、かなり疲労がたまっているので、
「神を冒涜するシーン」の動きを決めて、終わりにしました。