カンファタボー

最高の季節がやってきた。
窓を開け放しても寒くも暑くもない日々。
風通しが良い。暖かい。

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お腹の中にはぎっしりと子が詰まっている。音楽を聴いて踊ったり、散歩しないと怒って蹴ったり、撫でてやると落ち着いたりする。毎晩話しかけるのが日課になっている。

「悪童日記」の続編「二人の証拠」が止まらない。めくってもめくっても次を次をと脳が求める。女性の小説家でここまで吸引力のある人に初めて出会った。もちろん、私の中で。

アゴタ・クリストフは、おそらく私とは全然違うタイプの作家なのだが、だからこそなのかな、惹かれる。子供を育てながら小説を書いていたこととか、知らない土地が、どれだけ優しくてもなじめないこと、などに手触りを感じ、平易な文章も手伝って、私をがっつりとあの見知らぬヨーロッパの街並みに誘い込んでくれる。

来年の3月にこの小説を基にした舞台を考えている。
その稽古がすでに始まっていて、メンバーとともにこのことについて、特に何にも追われず語れる平和な日々。

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最近、子を守るためなのか、本来の怒りやすい私が戻ってきた感じがある。
ここ数年は、怒る自分が大嫌いで、何でもかんでもニコニコしていた。
ニコニコしていれば誰も私に傷つけられることはない、結果誰も私の元から去らない、と思っていた。

形から入ると知らぬうちに中身も変わるようで、柔和になった、とよく言われた。実際そうなってよかった部分も大きい。

でもその抑圧による歪みは結構大きく、結局よくわからないところで何もしていない相手に不機嫌に接するというような形で相殺されていたように思う。いや、私としては理由があるつもりなんだけど、よく考えてみれば、相手にとっては理解不能な理不尽な振る舞いがあったような。

やはり怒るべき時は怒ろうと、まっすぐ怒ろうと思うようになって、というか、思うより先に怒ってしまうことがあって、嫌だなーと思いつつ、やっぱこれが健全だなと思っている。嫌なことは嫌だものな。そうしていくと、理不尽な振る舞いも減ってくるように感じている。

ありがたいことに出産までにテキストの案件が3つ。
週1回のシニア劇団の演出もあって、
細々と書類の作成が山積みで、

でも自由な時間の中にいて、すべきことがあるって、悪くないなあ。

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昨日は鳥公園の西尾さんがうちに来てくれた。
衣装の詩恵ちゃん、サファリメンバーのまっちゃんとすくも来て、夫と5人でご飯を食べた。
やっぱり西尾さんはとっても素敵な人だった。

あれだけ素敵なのに人を見下す感じがないし、自分の中身や外見に夢中な感じもない。つまりバカじゃない。

夜、夫が「しゃべり方が豊穣で、恐れ多くて目が見れなかった」と言い出し、大笑いした。西尾さんにびびったそうだ。

西尾さんと同い年の詩恵ちゃんはシニア劇団の衣装をボランティアで作ってくれた。3着も。彼女はこの10月、初めて自分で戯曲を書いて演出をしようと考えている。相変わらず自信なさげに微笑んでいたが、詩恵ちゃんも本当に素敵な人だ。あれだけ美人で気遣いが出来て、それでいて、いつも何かを恐れている。

頭が良すぎてきっと、現実が見えすぎるんだろうなあ。

その二人が、私よりも9歳も年下なのだ。

もはや嫉妬とかもないよね。

私は、きっとバカだから何も怖くないんだな、といつも思う。
やっぱり、賢くなりたかったよなあ。

今日は帰山ちゃんと、お鍋をする。