トリコ・A kyoto,Japan

トリコAとは

 トリコAは、山口茜が「自分で戯曲を書いて演出をしてみたい」という安易な気持ちを胸に、1999年、勢い余って立ち上げた団体です。当初の団体名は、魚船プロデュースと言いました。以来11年間、基本的には上演ごとに俳優が変わるプロデュース形式で、京都を拠点に演劇を上演してまいりました。やってみると意外と大変だった事が多い様に思いますが、皆様の暖かいご支援のもと、現在も変わらず活動を続けております。

 子供の頃、三が日はお店が全部閉まるので、年末に大量の食べ物やお菓子を買い込んで、家族全員で来たるべき正月にわくわくしていた記憶があります。テレビが「行く年来る年」に向かって高揚して行く大晦日の夜、のぞき見た訳でもないのに「国民全員が同じ体験をしている」事を、おそらくほとんどの子供は子供ながらに知っていました。共同の夢を見る、というあの時の興奮は、今でも格別のものとして私の中に残っています。そのうち、正月も空いているスーパーが増えて来て、そんな「買いだめのわくわく感」はすっかり消え去ってしまいました。今では家でも外でもどこに居ても、ひとりで楽しめるアミューズメントがたくさんあります。お店は24時間空いているし、たいていの辺境、秘境にだって、お金を出せば行ける時代になってしまいました。だから、こんな島国の小都市で、演劇なんかを使って、今更いったい何を提供しようとしているのか、と思ったりもしてしまいます。

 おそらく私はあの年末年始に体験した共同夢を、もう一度創り出したいのだと思います。本当に楽しいことは、「興奮」ではなくて「共有」とか「一体感」がもたらしてくれる。そんな楽しみ方を求める大人が、日本にもこれから増えていくのじゃないでしょうか。そして演劇はその一助となれるんじゃないか、と私は思います。少なくとも京都で演劇をする、という行為は、現在テレビが提供してくれるコマーシャルとは無縁の行為ですから、劇場に来て何かを買わされるとしたら、せいぜい演劇のチケットか、一杯のビールか、その程度だと思います。私は自分の子孫を含め未来の人々にお金を残せるかどうか危ういのですが、「楽しみを他人と共有した記憶」っていうのだけはなんとかして残したいと思っています。だからそう言う演劇を創れる様に、私はこれからも活動を続けてゆきたいと思っています。

概要

団体名
トリコ・A
所在地
〒602−8241京都市上京区役人町238−4 ワールドビル5階
主宰
山口茜

沿革

1999年
主に山口茜の劇作/演出で演劇を上演する団体として魚船プロデュースを設立。
2002年
名称をトリコ・Aに変更、数名の俳優とともに劇団にする。
2003年
ふたたびプロデュース団体に戻る。
2003年
「他人(初期化する場合)」で第10回OMS戯曲賞大賞を受賞。
2005年
初めての東京公演(東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズ参加)と初めての大阪公演(精華劇場オープニングイベント参加)を行う。
2007年
「豊満ブラウン管」で若手演出家コンクール2006最優秀賞受賞。
2007年
初めての名古屋公演(愛知県芸術劇場演劇フェスティバル参加)を行う。
2007年
山口茜が文化庁新進芸術家海外留学制度研修員としてフィンランドに留学、活動を休止。
2007年
「豊満ブラウン管」の一部がフィンランド国立劇場にて上演される(演出/Juha Mäkelä、翻訳/Miika pölkki)。
2009年
山口茜が帰国し、活動を再開。
2010年
京都芸術センター10周年記念式典に戯曲を提供(演出/三浦基)。
2012年
「ROUVA」で文化庁芸術祭新人賞受賞